【あの問題を追ってみた】羊蹄山の麓で何が?倶知安町「巽地区」を揺るがす大規模な違法開発問題の全貌と町の対応

既に皆様もご存じだと思いますが、SNSのみならず、地上波でも大きく取り上げられて憂慮すべきニュースとして報じられている倶知安町「巽地区(たつみちく)」の違法開発問題でございますが、あまりにも問題が大きく、これは軽視できないという思いから個人的に深掘りしてみました。

参院選も控えておりますので、このような問題に真摯に取り組んでくれる候補者を応援したいという思いもこのブログを書くきっかけとなっております。


さて、倶知安の、いや、ニセコの偉大なるランドマークとして世界に誇る雄大な羊蹄山の麓に広がる場所において、地域住民を不安に陥れる大規模な違法開発・伐採・建築問題が明るみにでました。そこで一体何が起きているのか、事の発端から現在の状況、そして背景にある課題、さらには町の具体的な対応まで掘ってみましたので、危機感を抱いておられる方はぜひお読みください。


事の発端:無許可で始まった「陽雪ノ華」プロジェクト

この問題が明るみに出ましたのは、昨年(2024年)から倶知安町巽地区で始まった不可解な工事がきっかけでした。この問題は、この夏の参院選で参政党から出馬される「田中よしひと」氏の問題提起で広まってきたものですが、当初、北海道への報告では「1ヘクタール未満」の開発とされていましたが、現地調査が進むにつれて、無許可で約3.9ヘクタールもの広範囲にわたる森林伐採が行われていたことが判明しました。これはサッカーコート約5個分に相当する広さで、羊蹄山麓の貴重な天然林が大規模に失われたことになります。

この開発は、主に中国人富裕層向けに海外不動産を仲介する札幌の不動産会社が関与しており、「陽雪ノ華」と名付けられたリゾート別荘の建設が計画されていたとされています。その後の情報では、ここにプライベートゲレンデを作るなどの構想があることがわかりました。

そして驚くべきことですが、これらの建物は「住宅」として届け出られていたにもかかわらず、実質的には宿泊施設としての利用を想定した大規模なもので、必要な建築確認申請すら行われないまま工事が開始されていました。既にネットで売っていたそうですからね。C国らしいといえばらしいですね。

さらに問題なのは、てか、個人的にここが最も危惧するところでございますが、この開発している土地が倶知安町の水資源保全条例で定められた保全地域に該当していたことなんですよ。

しかもですよ、自衛隊の倶知安駐屯地から山を挟んで3キロ程度しか離れておらず、軍事安全保障の観点からも非常に憂慮すべき問題だと思っております。

にもかかわらずですね、町への届け出が一切ありませんでした。

そしてここから個人的に「はぁ???」と怒りが沸いてきましたのは、この問題、よくよく調べてみますと、なんと当該町、つまりわが町「倶知安町」がですね、2022年11月の段階でこの無届け開発の事実を把握していたという点です。しかし、その後の勧告が「確認不足」によって遅れ、最近になってようやく書面での勧告に至ったという経緯も明らかになっておりまして、行政側の対応の遅れもこの問題を拗らせている要因となっております。


歯止めがかからない違法行為:多岐にわたる法令違反と現在の状況

ここまで書いてきて、これだけでも本当に憤懣やるかたないのですが、しかし、この問題は単なる無許可伐採に留まらず、複数の深刻な法令違反が確認されているんです。(ちなみに「法令」という言葉の中に「法律」や「条令」などが含まれております)

ちょっとややこしいので箇条書きにまとめてみますね。

  • 約3.9ヘクタールに及ぶ違法伐採: 貴重な水源涵養林が消失し、地域の生態系や防災面にも影響が懸念されています。この森林は生物多様性の保全、土壌流出の防止、気候変動の緩和、特に水源涵養林として重要な役割を担っています。
  • 多重な法令違反: 森林法に加えて、建築基準法、都市計画法、土壌汚染対策法など、少なくとも4つの法律に違反していることが判明しています。
  • 北海道と町の姿勢: 北海道は事業者に対し工事の中止を勧告し、倶知安町と連携して法的な是正を強く求めています。鈴木直道知事もこの開発を「悪質性がある」と厳しく批判しており、倶知安町の町長も「このような無断開発が許されることは、断じてありません」と強い姿勢を示しています。(といいながらも、特に鈴木知事は現状では何もできない主旨のことを回答しておりますね。)
  • 復旧計画の提出: 開発事業者は伐採した木の植え直しを含む復旧計画書を提出していますが、その実効性や履行が注視されています。
  • 議会での決議: 倶知安町議会では、「街づくりの根幹を揺るがす重大な事案」として、北海道や国に対し違法開発行為への厳正な対応と再発防止を求める決議が可決されました。

どうですか?

現状では若手の町議会議員さんたちが懸命にこの問題に取り組んでくれており、このままうやむやになることはないとはおもうのですが、言葉をきつくすればここまでは「やられっぱなし」という感想を抱いてしまいます。

てかですね、ここまで書いていて、てか皆様も同じ思いだと思うのですが、どうしてこれほどまでにアブナイ問題にもかかわらず、道や町は即刻中止の現状復帰命令を出したり、もしくは法令違反をしているのに、つまり法律を守っていないのに逮捕や強制中止ができないのでしょうか。

この辺りも大切な問題のなので調べてみました。

なぜ即刻中止や逮捕ができないのか?行政と司法の壁

上に書きましたように「なぜこれほど違法行為が明白なのに、すぐに工事を止めさせたり、関係者を逮捕できないのか?」という疑問は当然湧いてくることでしょう。

僕も全く同じ疑問を抱いておりました。

これ、調べますと、これには日本の法制度における行政と司法の役割分担が関係しているようなんです。

また箇条書きにしてみますね。

  • 行政の権限: 都道府県知事や市町村長は、違法な開発行為に対して工事中止命令や復旧命令といった行政処分を出す権限を持っていますが、しかし、これはあくまで行政上の命令であり、逮捕を伴うような強制的な執行は直接行えません。命令に従わない場合は、行政代執行の手続きや、警察への刑事告発を行うことになります。(既に従っていないのだから刑事告発まで進んでもいいと個人的にはおもっているのですが・・・)
  • 逮捕の要件: 逮捕は、刑事訴訟法に基づき厳格な要件が定められているようで、犯罪行為を「現に」行っているか、行い終えた直後である場合に限り、逮捕状なしで逮捕が可能です。つまり「現行犯」ってやつですね。言い換えると、単に「違法行為があった」だけでは直ちに逮捕には繋がらないとのこと。警察は、違法行為の悪質性や関係者の特定、証拠の収集などを慎重に進める必要があり、これには時間と手続きを要するようです。なので現状で法律違反を犯していることが明白なのに逮捕できないってことなんです。

今回の倶知安町の件では、森林法、建築基準法、都市計画法、土壌汚染対策法など複数の法令違反が指摘されていますが、これらの違反に対する罰則は、懲役刑や罰金刑が定められていますが、しかし、罰則があるからといって直ちに逮捕できるわけではなく、上記の逮捕要件を満たす必要があります。行政による指導や命令に従わない場合に、刑事告発が行われ、それを受けて警察が捜査を進めるのが一般的な流れとなるようです。てか罰金っていっても50万払えばおしまいですって。50万て。アホか。これほどまで悪質なのだから50億だろが。

早く行政代執行の手続きをして、刑事告発の準備を進めるべきだと思うのは僕だけでしょうか。

事態を複雑にしている、問題を扱う省庁と倶知安町の関係および今後の具体的な対策はあるのか

今回のような複合的な問題は、一つの省庁や自治体だけで解決できるものではないようですね。

複数の機関が連携して対応にあたっているようです。

またまた箇条書きにしてまとめてみました。

  • 林野庁(農林水産省): 森林法に基づき、森林の保全や林地開発許可制度を所管します。
  • 国土交通省: 都市計画法に基づく土地利用計画や開発行為の規制、建築基準法に基づく建築物の安全性や建築確認申請などを所管します。
  • 環境省: 土壌汚染対策法など、環境保全に関する法令を所管します。
  • 警察庁(都道府県警察): 刑事告発があった場合や、犯罪行為が確認された場合に、刑事訴訟法に基づき捜査を行い、逮捕や送検を行います。

今回の倶知安町のケースでは、北海道庁(後志総合振興局)や倶知安町が、上記の各法令に基づき指導・対応を行っているようですね。

倶知安町長が「違法開発は許しません!」と声明を出した背景には、具体的な行政の取り組みがあったこと確かでしょう。

町は、今回の巽地区の違法開発事案を受けて、北海道後志総合振興局と共に、関係事業者2社を町役場に招致し、法令遵守について厳重に申し入れを行ったことを公表しています。これは、違法状態の早期解消に向けた具体的な行政指導の一環ですから、この点は評価してよいとは思います。

てかですね、倶知安町は今回の問題が発覚する以前から、ニセコエリアの無秩序な開発を抑制し、良好な景観と住環境を保全するために、2023年10月1日付で景観地区条例などの建築ルールを強化しており、以下のような具体的な変更が行われており、今回のこの巽地区の問題が明るみに出る前の段階で以下のことを決めているんですよ。

  • 建築物の制限の強化:
    • 高さ制限の強化: 拠点型エリアを除き、原則として13m以下に制限。特定のエリアでは高さ制限を新たに設定。
    • 形態意匠(外観の色彩・屋根形状・外構など)の制限: 外壁・屋根の色彩基準の変更、バルコニーなどの突出物の制限、塀や機械設備などの位置制限、簡易な建築物のデザイン制限、屋外駐車場の制限などを追加・強化。
    • 後退距離の強化: 保全型エリアにおける主要幹線道路からの後退距離の制限を強化。
  • 開発行為の制限の新規導入:
    • 造成に関する制限: 法面勾配や擁壁の高さ制限、主要幹線道路に面する敷地における駐車場の配置制限を導入。
    • 緑化率の義務化: 建築行為においても、緑化率の確保を義務化。
  • ホテル・旅館建設可能地域の限定: ホテル・旅館を建設できる地域を限定し、大規模開発に一定の制約を加えました。

これらの条例改正は、無秩序な開発への懸念が既に背景にあり、開発規制を強化する町の強い姿勢を示しているはずだったのに、なのにこの開発を許してしまっている始末

法令違反が明確なのにこのまま黙っているのは、やはり地元民としては黙っていられませんね。

では今後どうしていくべきか。

ちょっと考えてみましょう。


今後の展望と地域が抱える課題

倶知安町でのこの違法開発問題は、単なる一地域の事案に留まらない、より広範な課題を浮き彫りにしています。

つまり、「日本中」で似たような問題が今後起こり得る、もしくは「既に起こっている」ということです。

具体的に対策を考えていきましょう。

  • 情報共有と連携の強化: 今回、町と北海道の間での情報共有や連携不足が指摘されており、今後の改善が急務だと思いますが、果たして、これは本当に「連携不足」だけなのでしょうか。見てみぬふりではなかったことを祈るばかりです。
  • 外国人による土地取得: ニセコ地域では以前から外国人による土地取得が進んでいますが、今回の件は「外国人による無制限な土地の買収」というより大きな問題提起にも繋がっています。地域の景観や水資源など、公共の利益を守るための新たな法律、国として、日本として対応する法整備が早急に求められます。
  • 再発防止: 今回の事例を教訓に、同様の違法開発が二度と起きないよう、より厳格な監視体制や罰則の強化、そして迅速な行政対応が必須でしょう。ここもやはり、道や国などの「上位機関」の明確な意思表示が必要となるところだと思います。

個の問題は、当該地区の問題にとどまらず、「日本」という国がどこへ向かうのか、そしてそこに住む我々は将来的にこの国を「日本」と呼べるのかどうかという、大げさではなく国の根幹に関わる非常に重要な問題だと思いますので、この問題を「北海道だけ」「一地方の問題だけ」として捉えずに、もっと大きな視点で見る必要があるということですね。

の後の進展に引き続き注目していきましょう。

以上です。

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