まず最初に、しっかりと声をあげましょう。
今回の参議院議員選挙では、僕は北海道選挙区(定数3)なので参政党の「田中よしひと」氏を応援します。
なぜか。
田中よしひと氏はご縁あって親しくさせていただいている方ですが、非常に「肚が座っている」とでも申しましょうか、とにかくドン!と大きく構えていて多少のことでは動じない人物ですので、田中よしひと氏が国会に議席を持った場合、しっかりと言うべきことを言い、日本人にとって不利になることとは全力で戦ってくれる人物であると見ているからです。
最近でいえば、メディアに取り上げられて多くの人が知ることとなったわが地元「倶知安町」での「中国村建設構想」の発端となった俱知安町巽地区での「違法開発問題」を世に問うた先駆者でもありますし、この問題のみならず、水源地や軍事的安全保障を脅かすような土地の外国人の野放図な開発や買収などにも待ったをかけてくれておりますので、田中氏が選挙戦で一丁目一番地に挙げている「外国資本から北海道を守る」というその1点だけでも田中よしひと氏に1票を投じる価値はあるでしょうね。
田中よしひと氏はこういった選挙戦以外の席でも本気で憂いていて本気で地元を、もっといえば日本を良くしようということを常々仰っておられますからね。
ゆえに、投票用紙2枚目の比例代表の投票用紙にも当然ながら「参政党」の候補者に1票を投じます。もしくは党名のみを記載します。
参政党を応援するというと、かなりの割合で「情弱」とか「まともな教育を受けていれば参政党のやばさがわかるはず」などという批判が出てきますが、これはきっとこの後に書いていきます「金融・経済政策」の部分を指していると思うんですよ。
そして参政党を支持しない人たちが「標的」として突っ込んでくることも理解できます。
なので、「その部分」に関しては同意するといいますか「それはわかりますよ。支持するこちらとしてもその部分は是非とももっと議論を重ねてほしい」と思っていますから。(なのでこの後しっかりと書いていきます)
でもね、参政党がキャッチコピーとして掲げている「日本人ファースト」という理念には無条件で賛同しますし(てか自国民が自国民をを最優先した政策を支持するのは当たり前だと思うのですが、それは違うという人も多いですよね)かつ「日本人ファースト」=「排他主義・差別主義」とすること自体が個人的には飛躍しすぎているとも思っておりますし、現に参政党代表の神谷代表も「外国人はみんな出ていけということでは決してない」という主旨の発言をされておりますので、まずは現地の日本人が安心して暮らせる社会を構築して、その後にお世話になる外国人の方に気持ちよく入ってきてもらおうというだけですからね。
現に僕も外国人の友達もたくさんいますし、出会った外国人の中でいわゆる「悪い人」はいませんでしたしね。
ということで、今回の参議院議員選挙は「日本人ファースト」を掲げる参政党を支持しますが、しかし、アンチがクローズアップして切り取ってくる金融・経済の政策に絞って見てみますと、そこはご指摘の通り少し首を傾げるようなところがあるのも事実ですので、今後のアップデートに期待したいという思いから、今日はその点を深く掘り下げていきたいと思います。(個人的には「創憲」の部分も触れていきたいのですが、長くなりすぎますので今回は割愛いたします)つまり、「妄信していない・だけど多くの部分で共感するので心から応援します」という意味で書かせていただきます。
党員の方のお目に留まれば幸甚です。
さて、ここ最近、特に参院選がスタートしてからというもの、日本の政治に新たな風を吹き込んでいる参政党ですが、神谷代表の熱い魂の演説に心打たれた方も多いのではないでしょうか(もちろん、その熱量の分、アンチも多く発生していることでしょう)。
参政党は既存の政治や社会システムに疑問を呈し、日本の伝統や文化、食の安全、そして国民一人ひとりの主体性を重んじるその理念に、共感を覚える有権者が後を絶たないという状況となっております。
僕も、参政党が掲げる「日本のこころを取り戻す」といった理念には、深く共感する部分があります。
「日本人ファースト」のキャッチが示すように「保守」という点で賛同できる主張が多いのもその理由のひとつですが、しかし、その一方で、彼らが打ち出す具体的な経済・金融政策については、特に経済政策におきましては、現在の日本経済の状況を踏まえると、非常に慎重な目で見ていく必要があると個人的には感じています。今回は、その理由について、現在の日本の経済状況と参政党の政策を照らし合わせながら考察してみたいと思います。
ここで一つ、きちんと書いておかなければいけないと思った理由を書いておきますと、現在の参政党の経済政策は今のところ実現がかなり難しいものであると個人的には思っているのですが、参政党は「みんなが政治に参加する」ということを掲げている政党ですし、神谷代表も演説やSNSなどで常日頃から「党員が増えてくればもっと頭の良い人も増えてきていろいろと議論できてアップデートできる」という旨のことを仰っておられますので、参政党であれば既存の権力丸出しの党とは違い、方向性が間違っていると思えば有権者の声を聞いて、踵を返して変更できる柔軟性を持っていると判断しておりますので、敢えて苦言ではありませんが、「これこれこういう理由で実現は難しいかと思います。ご検討いただけましたら幸いです。」という思いで書かせていただきます。
が、その前に、やはり共感できる点、個人的に一票を投じようと思った「良い所」も書いておきたいですね。
参政党の魅力と共感できる点
参政党は、グローバル化の進展や情報社会の歪みに対し、独自の視点から警鐘を鳴らしています。特に、以下のような点が、政治に興味がなかった若者を中心に多くの共感を呼んでいるようです。
- 日本の伝統・文化・歴史の重視: 自国のアイデンティティを再確認し、誇りを取り戻す教育の必要性。
- 食と健康の安全: 遺伝子組み換え食品や添加物、農薬問題などに対する強い懸念と、安全な食料供給へのこだわり。
- 国民の主体性: マスメディアや既存の枠組みにとらわれず、国民一人ひとりが真実を知り、自ら考え、行動する社会の実現。
これらの理念は、現代社会が抱える根源的な問題に光を当て、多くの人々に「自分たちの手で日本を変えたい」という意識を芽生えさせているのではないでしょうか。
神谷代表も演説で「まずは知ってもらって、そこから進化・深化しながら政策を進めていく」旨の発言をしておりますから、安全保障の面でも個人的には全面的に頷けるものではないのですが、初めから100%賛同できるものなんてありませんし、なによりも理念・信念が既存の政党とは比べ物にならないほど賛同するところがありますので、問題だと思うところは問題としてしっかりと声を上げ(それを反映させるのが他の何物でもない参政党の理念ですからね)、修正なりアップデートを提起していきたいと思います。
ということで、ここからは個人的に参政党の政策の中で一番「?」となっている部分について、「こういう理由で、今、参政党が掲げている・経済・金融政策は見直していただきたい」ということをつらつらと書いていきますね。(金融政策においては、個人的には「金融取引の規制強化や配当への制約を設け、金融が主役化してしまった日本を実体経済中心の社会に戻し」という1点のみなので、この後は主に経済政策について書いていきますね。)
日本経済の現状:「悪いインフレ」の肌感覚
ではまずその前に、現在の日本経済がどのような状況にあるのか、その辺りからみていきましょう。
僕も含めて、きっと多くの人たちが「肌感覚」として感じているのは、決して「良い景気・よい経済状況ではない」ということではないでしょうか。
具体的にみていきますね。
- 物価は上昇しているが…: 消費者物価指数(CPI)はプラスで推移しており、デフレではないことは経済指標から明らかですね。例えば、直近の首都圏のCPIは前年同月比で3.1%の上昇を見せています。ピンとこない方も多いと思いますが、前年同月比で3.1%の上昇ははっきりとした強いインフレです。もっといえば、日本全体ではCPIは総合で3.5%ですから、間違っても「デフレ」ではありません。では「デフレからの脱却はできた。今は目指していたインフレの状況だ。万歳。」という状況なのかといいますと、決してそうではありません。言葉を使うならば「悪いインフレ」です。
- 実質賃金は伸び悩み:物価は上がった。デフレから脱却してインフレになった。 しかし、この物価上昇に名目賃金(額面の給与)が追いついていないため、税金や社会保険料を差し引いた可処分所得の実質的な購買力は減少しています。これが、多くの国民が「生活が苦しい」「給料が上がった気がしない」と感じる「悪いインフレ」の正体です。もっといえば、名目賃金(給与明細などに書かれている給料)が上がっても、物価上昇率(ここではCPIを用います)より上にいかないと「実質賃金」は増えないわけなので、つまり名目賃金が今より3.5%上昇しても物価上昇率が3.5%なので景況感といいますか、実際に使えるお金の価値は横ばいなんですね。「景気が良くない」と感じる理由は、物価は着実に上昇しているのに、額面の給料があがらないこと、使えるお金が増えないってところがその原因です。
- 国民負担率の高さ: 所得税、住民税、社会保険料など、国民が負担する割合(国民負担率)は依然として高く(財務省の資料によりますと令和7年度”2025年度”の国民負担率は46.2%となる見通し)、これが手取り収入を圧迫しています。
- コストプッシュ要因の強さ: 企業側も、原材料価格の高騰や円安による輸入コストの上昇が物価高の主な原因であり、需要が力強く経済を牽引している「良いインフレ」ではないという認識が強いです。
- 「スタグフレーション」ではないが…: 幸いなことに、日本の失業率は低く、完全雇用に近い形ですし、景況感が悪くても冷静にみて経済全体が大きく停滞しているわけではないため、景気停滞と物価上昇が同時に起こる「スタグフレーション」の定義には当てはまりません。しかし、「悪いインフレ」であることに変わりはありません。
このような状況で日本経済が目指すべきは、物価上昇を上回る賃金上昇を実現し、国民の購買力が増す「良いインフレ」への転換ですね。これは「当たり前」です。
日本銀行の認識:なぜ「悪いインフレ」でも金融緩和を続けるのか?
日本銀行(日銀)は、現在の物価上昇を「インフレである」と認識しています。しかし、日銀が目標とする「2%の物価安定の目標」は、単に物価が2%上がることではなく、「賃金上昇を伴い、需要増によって持続的・安定的に達成される好循環が定着した状態」を指しています。
現在のインフレが、国民の肌感覚として「悪いインフレ」である側面を持つことを日銀も認識しています。それでもなお「粘り強く金融緩和を続ける」のには、以下のような重要な理由と必要性があります。(インフレであれば金利を上げて意図的に経済を冷ます必要があります。なのになぜ日銀はそれをやらないの?という話です。)
以下にその理由を見てみましょう。
- 「デフレへの逆戻り」の回避:
- 日本は長くデフレに苦しみ、経済が停滞しました。(失われた30年)日銀は、ここで拙速に金融引き締めを行えば、せっかく芽生え始めた物価上昇と賃金上昇の機運が失われ、再びデフレに逆戻りしてしまうリスクを最も警戒しています。
- ケインズ経済学の視点から見ても、一度デフレに陥り「流動性の罠」に嵌ると、そこから抜け出すことがいかに困難であるかは、日本の過去の経験が示しています。日銀は、この罠から完全に脱却するまで、緩和的な環境を維持したいと考えています。
- 「賃金と物価の好循環」の確実な定着:
- 日銀が目指すのは、賃金上昇が物価上昇を上回り、国民の実質所得が増加する「良いインフレ」です。現在の物価上昇はコストプッシュの要素がまだ大きく、賃上げが物価上昇に追いついていません。
- 金融緩和を継続することで、企業が賃上げをしやすい環境(低金利で資金調達ができる、需要が底堅いなど)を維持し、さらに多くの企業で賃上げが広がり、それがサービス価格などにも波及していくことを促しています。これが実現すれば、実質賃金がプラスになり、家計の購買力も向上します。
- 過度な金融引き締めによる景気悪化の回避:
- もし日銀が性急に金融引き締め(利上げなど)を行えば、企業の資金調達コストが上昇し、設備投資や雇用が抑制される可能性があります。また、住宅ローン金利の上昇は個人の消費を冷え込ませます。
- これは、せっかく回復しつつある景気を冷やし、かえって企業収益の悪化や失業の増加を招き、結果的に賃金上昇も抑制され、「良いインフレ」への道が遠ざかるリスクがあります。
これらから考えますと、日銀の金融政策は、現在の「悪いインフレ」を承知の上で、将来的な「良いインフレ」への転換を粘り強く支援しようとしている、と理解できます。
このことから、インフレを把握しつつも日銀は金利を上げられないというジレンマに陥っております。
ほんと植田総裁はかじ取りが難しい(というかどっちに転んでもいばらの道でしょうけれど・・)局面ですね。
参政党の経済・金融政策とそのリスク
長くなりましたが、ここからが本題です。
ではこの「悪いインフレ」という現状において、参政党の掲げる主要な経済・金融政策は日本経済にどのような影響をあたえるのでしょうか。
日本の経済政策と「失われた30年」:MMTを巡る議論
参政党の経済政策はその背後に有名な「三橋貴明」氏や、参政党の比例区の候補でもある「あんどう裕」氏がいて、彼らを中心としたMMT(現代貨幣理論)の枠組みに沿った内容が主流となっております。
それを踏まえながら、まずは最近の日本経済の動向、特に失業率や長引く経済停滞「失われた30年」について、そして新たな経済政策の選択肢として注目されるMMT(現代貨幣理論)について、深く掘り下げて考えてみましょう。
日本の現状:安定した失業率と「悪いインフレ」
まず、現在の日本の雇用状況ですが、失業率は「2.5%」前後で安定しており、比較的低い水準を維持しています。これは一見すると良好に見えますが、同時に日本は現在、原材料価格の高騰や円安による輸入物価の上昇を背景とした「悪いインフレ」(コストプッシュ型インフレ)に直面しています。賃金が物価上昇に追いつかず、国民の実質購買力が低下している状況です。
「失われた30年」とは何だったのか?
1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本経済は長期にわたる低成長とデフレに苦しんできました。これが「失われた30年」と呼ばれる期間です。この間、政府の経済政策は様々な経済学の潮流の影響を受けながら試行錯誤を繰り返しました。
この期間、日本政府は財政健全化と景気対策のジレンマに常に直面し、結果としてデフレからの完全な脱却を果たせず、巨額の政府債務を抱えることになりました。
なによりも、1997年の消費税増税が需要を落ち込ませ、経済が活性化しないそのトリガーとなったことには異論はないでしょう。
参政党の経済政策とMMT:積極財政によるデフレ脱却と内需拡大
このような「失われた30年」の状況を打破するため、参政党は経済評論家の三橋貴明氏や元衆議院議員の安藤裕氏らの影響を強く受け、MMT(現代貨幣理論)の考え方に深く根ざした経済・金融政策を掲げています。彼らの政策は、従来の経済学の枠組みとは一線を画し、大胆なアプローチを提案しています。
では参政党の経済政策の主な特徴と、それがMMTの思想とどのように結びついているかを詳しく見ていきましょう。
- 積極財政と国内投資の重視:
- MMTの根幹: MMTは、自国通貨を発行できる政府(主権通貨国)は、財源の制約を受けないと考えます。つまり、政府は税収や国債発行によって資金を「調達」するのではなく、必要に応じて通貨を「創造」して支出できるという考え方です。
- 参政党の政策: このMMTの考えに基づき、参政党は国債の発行をためらわず、公共事業や国内産業への大規模な投資を積極的に行うことを主張します。これにより、内需を拡大し、経済全体の生産能力と需要を高めることを目指します。特に、老朽化したインフラの整備、災害対策、次世代技術への投資など、民間だけでは十分に投資が進まない分野への政府支出を重視します。
- デフレ脱却と物価安定:
- MMTの目的: MMTは、デフレ下においては政府が積極的な支出を行うことで、経済に十分な需要と通貨を供給し、デフレから脱却することを最優先課題とします。インフレは「供給能力の限界」に達したときにのみ発生する「実質的な制約」であると捉えます。
- 参政党の政策: 参政党は、金融緩和と財政出動を組み合わせることで、デフレからの脱却を図り、適度なインフレ(物価上昇)を目指します。現在の日本のインフレがコストプッシュ型であり、需要過熱によるものではないとの認識から、さらなる財政出動が直ちに悪性インフレを引き起こすとは考えません。むしろ、政府が需要を喚起し、国民の所得を増やすことで、賃金上昇を伴う「良いインフレ」への転換を目指します。
- 金融引き締めへの警戒と金融政策の役割:
- MMTの視点: MMTでは、中央銀行の役割は主に物価安定と雇用の最大化であり、金利調整は財政政策の補完的な役割を果たすと考えます。デフレ下や経済が完全に回復していない状況での安易な金融引き締めは、経済成長を阻害すると警戒します。
- 参政党の政策: 経済が完全に回復し、持続的な賃金上昇が確認されるまでは、安易な金融引き締め(利上げなど)には慎重な姿勢を示します。金融政策は、財政政策が創出した需要を支える役割を担うべきだと考えます。
- 中小企業・農業の支援強化、消費税減税(廃止も視野):
- MMTの応用: MMTの枠組みでは、政府は税金を通じて通貨を回収することでインフレを抑制したり、特定の経済活動を奨励・抑制したりする役割を担います。
- 参政党の政策: 地域経済の活性化や食料自給率の向上を目指し、中小企業や農業に対する手厚い支援を掲げます。消費税については、それが経済の足かせとなり、国民の購買力を奪っているとの認識から、減税や将来的な廃止を検討する姿勢を示しています。これは、国民の実質所得を増やし、内需を刺激するための具体的な施策として位置づけられています。
上記だけみておりますと、本当に良い政策といいますか、理想の経済政策と思ってしまいます。
しかし・・・
「悪いインフレ」下でのMMT:賛否両論
しかし、現在の日本は前述の通り「悪いインフレ」という状況です。
物価の上昇に名目賃金の上昇が追い付いていません。
そしてなによりも、個人的にはここが一番重要なところだと思っているのですが、現在、日銀は国債の買い入れを縮小しております。(2024年7月の日銀金融政策決定会合にて決定されました)この「日銀が国債の買い入れの減額を行っている」ということはつまり、市場に溢れている国債を買い取ってくれる主体がいなくなったということに等しく、そうなると国債の長期金利は上昇傾向となっていきます。
そのような状況下で「財源」として国債ををさらに発行していけば、需給の悪化で金利が急騰していくことは想像に難くないんですね。
ケインズ経済学でも言及しておりますが、政府がいわゆる「積極財政」を行うのは明確な不景気の時に限るとし、雇用が完全雇用に近づいた段階で財政は健全化へ向かうべきだとしておりますし、当のMMTでも「インフレにならない限り、完全雇用を達成するまでは財政赤字を拡大できる。」としておりますので、現況、日本の経済状況を鑑みますと、今のこの段階で積極財政を推し進めることは個人的には得策ではないと思っているんです。インフレって、一旦走り出すとそれにブレーキをかけるタイミングやブレーキを踏む度合いなど非常に難しいですからね。
このような状況下で参政党の経済政策を眺めた時に、その中で、もっとも懸念される政策は「国債償還政府通貨」の発行という部分でして、これは「政府が、国債の償還(返済)や新たな財政支出のために、中央銀行を介さずに、あるいは中央銀行に直接引き受けさせる形で、自ら(政府として)通貨を発行する」というものですが、平たく言うと「国債の返済のお金を政府が自ら刷ってしまえばいいんじゃん」というものなんですね。
これは思い切りMMTを背景とした政策なのですが、これが懸念される大きな理由は「政府が中央銀行の独立性を無視して直接通貨を発行し始めると、市場は通貨の信認を失い、制御不能なハイパーインフレや急激な通貨安(円安)を引き起こす可能性が極めて高い」という部分なんです。
このように、政府が直接通貨を発行して財源を賄うことを「財政ファイナンス」と呼びますが、この「財政ファイナンス」は止まらないインフレ(ハイパーインフレ)を呼ぶものとして多くの国で非常に厳しく法律などで禁止・制限されております。
なので個人的にはこの辺の経済に対する参政党の考え方については「ちょっと待ってほしいです。」というスタンスをとっております。
参政党やそのブレーンたち(三橋貴明氏やあんどう裕氏など)は、現在のインフレは需要過剰ではなく、海外要因によるコストプッシュ型であると主張し、日本にはまだ生産能力の余剰(GDPギャップ)があるため、政府が財政出動で需要を創出しても、悪性インフレにはならないと反論しており、むしろ、「失われた30年」は緊縮財政が原因であり、政府が積極的な役割を果たすことで、賃金上昇を伴う「良いインフレ」への転換と経済成長が可能になると主張していますが、その考え方ももちろん「一理あり」ですけれども、だけれども、あのアメリカでさえ、CPIが9%を超えるインフレを退治するのに相当苦労したことを踏まえますと、エネルギーも食料もそのほとんどを輸入に頼る我が国おいて円安(通貨安)の可能性を高める野放図な財政出動は慎重なうえに慎重を重ねて議論していただきたという思いでございます。政府による無制限な通貨発行は、歴史的にハイパーインフレを引き起こした事例もあるため、極めて危険な賭けであることには間違いありませんからね。
ということで、ここまでつらつらと書き殴ってきましたが、参政党の理念や現在の日本が抱える課題に対する問題意識には心から共感しておりますので、今後も応援させていただくことには変わりありません。
しかし、経済政策、特に「国債償還政府通貨」のような提案は、その意図とは裏腹に、現在の「悪いインフレ」を壊滅的な危機へと変貌させる可能性が非常に高いと言わざるを得ませんので、その点だけはしっかりと異議を唱えておきたいなと思った次第でございます。
いずれにいたしましても、ここまで選挙や政治に興味を持たせてくれたという点においては参政党さんの右に出る政党はいないですし、日本を良くしたい、日本人であることを誇りに思うという理念は無条件で共感いたしますので、今回の参議院議員選挙に限らず、今後の発展を祈念して1票を投じたいと思います。
長文失礼いたしました。